350年の伝統を現代に伝える―

二本松の家具造り。

二本松の家具の歴史は古く、寛永20年(1643年)に入府した二本松藩初代丹羽光重公が、城の大改築を行った際の産物の一つとしてはじまり、現在に至るまで350余年の伝統を誇っています。
丹羽光重公が二本松に入って後の寛永年間(17世紀中頃)に、城の大改築が行われ、大工職人が城館を建築するかたわら、城内の建具・調度品なども手がけていたものが家具造りに活かされていきました。
本格的な家具職人が現れたのは、天保年間(19世紀中頃)で、歴代藩主が奨励したこともあって、城中向けの芸術的価値の高い調度品を作り始め、現在の二本松伝統家具の基礎となりました。

田中家具のはじまり。

創業明治2年。

田中家具は明治2年(1869年)、家具の街として知られる城下町、福島県二本松市に創業しました。
初代寅二以来、その長い歴史の中で培われてきた家具造りの技術は、何人もの職人達によって150年以上にわたって受け継がれています。
明治時代から伝わる、打出の小槌や宝袋など縁起物を象った「宝づくし飾り」は田中家具のトレードマークとも言えるものです。

明治時代の広告では、伝統的な箪笥以外にも寝台(ベッド)、イス、テーブルなどの洋家具類も販売していたことが分かり、往時の様子が偲ばれます。

明治2年の創業以来、受け継がれてきた家具造りの技術。
二本松伝統家具は、長い歴史の中で培われてきた優れた技術、昔ながらの技法で製作されています。
もちろん、手仕事。 だからこそ出せる質と美しさ。
木取りから組み立ての行程を一人で続けることで、完成度の高い箪笥が生み出されます。

素材を生かした表面仕上げ。

漆塗りや油性漆。総桐たんすにはとの粉仕上げや焼桐時代仕上げ。

箪笥によって、オーダーに応じて、さまざまな表面仕上げを使い分けます。

箪笥を彩る飾り金具。

二本松のシンボルである菊と松をあしらった「城家飾り」、田中家具に明治時代から伝わる宝袋と打出の小槌の「宝づくし飾り」や、牡丹や唐草をあしらったものが代表的です。
牡丹はその花容から富貴を象徴するもの、唐草は蔓が途切れることなく無数に伸びる生命力から繁栄を象徴するものとされてきました。
この他にも七宝など吉祥文様を象った飾り金具があります。

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